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  • 3割特例(令和9・10年分)と簡易課税はどちらが得?個人事業主が業種別に徹底比較【2026年版】

    「2割特例がそろそろ終わる。次はどうすればいい?」——そう悩む個人事業主・フリーランスの方に向けて、令和8年度税制改正で新設された3割特例と、従来の簡易課税を業種別に比較します。

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    結論を先にお伝えすると、どちらが有利かは業種によって異なります。同じ売上でも、選択によって年間の納付税額が大きく変わるケースがあります。本記事では売上500万円(税抜)のシミュレーションを使って具体的に解説します。なお、以下の計算はあくまで概算であり、実際の税額は個々の状況により異なります。必ず税理士や国税庁でご確認ください。

    結論:業種で有利な制度が分かれる

    まず全体の結論を先にお伝えします。

    • みなし仕入率が高い業種(第1種:卸売、第2種:小売)→ 簡易課税が有利
    • みなし仕入率が低い業種(第4種:飲食・その他、第5種:サービス、第6種:不動産)→ 3割特例が有利
    • 第3種(製造業等)→ 同額(どちらでも変わらない)

    ライター・エンジニア・コンサルタントなど、いわゆるフリーランスの多くは第5種(サービス業)に分類されることが多く、その場合は3割特例のほうが税負担を抑えられる傾向があります。

    ただし、税額の有利不利だけで判断するのは禁物です。手続きのしやすさ・継続義務の有無も大きな判断要素になります。詳しくは後半で解説します。

    3割特例とは?——個人事業主のみ、令和9・10年分が対象

    制度の概要

    3割特例は、令和8年度税制改正により新設された制度です。以下の点が特徴です。

    項目 内容
    対象者 個人事業主のみ(法人は対象外)
    対象年分 令和9年分・令和10年分
    計算式 納付税額 = 売上税額 × 30%
    届出 事前届出不要。申告書に付記するだけで適用可能
    適用除外 基準期間の課税売上高が1,000万円を超える課税期間等は適用不可

    2割特例(令和8年分まで)では「売上税額×20%」でしたが、3割特例では「×30%」となります。2割特例からの移行で税負担は増えますが、簡易課税と比べると業種によって有利になるケースが多くあります

    参考: 2割特例の詳細については2割特例は個人事業主だといつまで?をご覧ください。

    3割特例の計算イメージ(概算)

    • 売上500万円(税抜)→ 消費税額 50万円
    • 納付税額 = 50万円 × 30% = 15万円

    仕入れや経費の実額に関係なく、売上税額の3割を納めるシンプルな計算です。

    注意点

    • 令和9・10年分限定の時限措置です。令和11年分以降は通常の計算か、他の制度を選ぶ必要があります。
    • 基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超える場合など、適用できない課税期間があります。
    • 個人事業主のみが対象で、法人は利用できません。

    簡易課税とは?——みなし仕入率で計算、事前届出と2年縛りに注意

    制度の概要

    簡易課税制度は、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を使って納付税額を計算する制度です。

    項目 内容
    対象者 個人事業主・法人どちらも可
    売上要件 基準期間の課税売上高が5,000万円以下
    届出 「消費税簡易課税制度選択届出書」を課税期間開始前までに提出が必要
    継続義務 一度選択すると原則2年間継続(やめたくてもすぐにはやめられない)
    計算式 納付税額 = 売上税額 × (1 − みなし仕入率)

    みなし仕入率(事業区分)

    事業区分 主な業種 みなし仕入率
    第1種 卸売業 90%
    第2種 小売業、農林漁業(飲食料品)等 80%
    第3種 製造業、農林漁業(飲食料品以外)等 70%
    第4種 飲食店業、その他事業 60%
    第5種 サービス業、運輸通信業、金融保険業 50%
    第6種 不動産業 40%

    参考:国税庁「消費税簡易課税制度の事業区分」

    簡易課税の計算イメージ(概算)

    • 第5種(サービス業)の場合:売上税額 50万円 × (1 − 50%)= 25万円
    • 第1種(卸売業)の場合:売上税額 50万円 × (1 − 90%)= 5万円

    みなし仕入率が高いほど納付額が少なくなります。

    簡易課税の注意点

    最大のポイントは「思い立ってすぐ今年分には使えない」ことです。届出を提出できるのは課税期間開始前まで(原則として前年12月31日まで)のため、年が明けてから申請しても当年には間に合いません。また、一度選択すると原則2年間は変更できない点にも注意が必要です。

    業種別シミュレーション——売上500万円(税抜)で比較

    前提条件(概算): 売上500万円(税抜)、消費税率10%、売上税額50万円

    制度・区分 納付税額 3割特例(15万円)との差額 有利な制度
    2割特例(令和8年分まで・参考) 10万円 −5万円
    3割特例(令和9・10年分) 15万円 基準
    簡易課税 第1種(卸売・みなし90%) 5万円 簡易が10万円安い 簡易課税
    簡易課税 第2種(小売等・みなし80%) 10万円 簡易が5万円安い 簡易課税
    簡易課税 第3種(製造等・みなし70%) 15万円 同額 どちらでも同じ
    簡易課税 第4種(飲食等・みなし60%) 20万円 3割特例が5万円安い 3割特例
    簡易課税 第5種(サービス等・みなし50%) 25万円 3割特例が10万円安い 3割特例
    簡易課税 第6種(不動産・みなし40%) 30万円 3割特例が15万円安い 3割特例

    ※上記はあくまで概算です。実際の税額は個々の状況や適用要件により異なります。

    業種ごとのポイント

    第1種(卸売業)・第2種(小売業)
    みなし仕入率が高く、簡易課税での納付額が大幅に少なくなります。事前に届出を提出しておく価値が大きい業種です。

    第3種(製造業等)
    どちらを選んでも税額は同じになります(概算)。手続きの手軽さや、将来の事業変更を見込んで柔軟性を重視するなら3割特例、継続的に使いたいなら簡易課税という選び方も一案です。

    第4種(飲食店業・その他)
    3割特例のほうが5万円程度安くなる計算です。ただし「その他事業」の区分は幅広く、自分がどの事業区分に該当するか必ず国税庁や税理士に確認してください。

    第5種(サービス業・運輸通信・金融保険)
    フリーランスのライター・デザイナー・エンジニア・コンサルタントなどが多く分類される区分です。3割特例のほうが10万円程度有利になる計算で、届出不要・2年縛りなしという手軽さもあります。

    第6種(不動産業)
    最もみなし仕入率が低く、簡易課税では納付額が高くなります。3割特例の活用が有効な場面が多いと考えられますが、不動産業は取引の内容により事業区分が複雑になることもあるため、必ず専門家にご相談ください。

    あなたはどっち?タイプ別の選び方

    フリーランス(ライター・エンジニア・デザイナー・コンサル等)の方

    多くの場合、第5種(サービス業)に分類されます。上記シミュレーションのとおり、3割特例のほうが税額面で有利になる傾向があります。さらに、届出が不要2年縛りもないという手続き上のメリットもあります。令和11年以降の対応を考える猶予もできます。

    ただし、自分が第5種かどうかは必ず国税庁の資料や税理士に確認してください。

    小売業を営む方

    第2種(小売業)であれば簡易課税が大きく有利になります。令和9年分から簡易課税を使いたい場合、届出書の提出期限(原則として令和8年12月31日まで)を見逃さないようにしましょう。

    業種が複数にまたがる方

    事業が複数の種類に分かれる場合、売上ごとに事業区分を分けて計算する必要があります(「原則課税のほうが有利」になるケースも)。複雑になりますので、税理士への相談を強くお勧めします。

    手続き・期限の注意点

    簡易課税の届出期限

    簡易課税を令和9年(2027年)1月〜12月分から使いたい場合は、令和8年12月31日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります(個人事業主の場合)。

    参考:国税庁「消費税簡易課税制度選択届出書」

    年内に届出を忘れた場合、令和9年分には簡易課税を適用できません。

    2割特例からの移行

    個人事業主の2割特例は令和8年分(2026年1月〜12月)が最後で、申告は2027年2〜3月です。令和9年分(2027年)からは2割特例が使えないため、早めに3割特例・簡易課税・原則課税のどれを選ぶかを検討することが重要です。

    2割特例の期間や注意点については2割特例は個人事業主だといつまで?もあわせてご覧ください。

    原則課税との比較も忘れずに

    本記事では3割特例と簡易課税の比較に絞りましたが、実際の仕入れ・経費が多い場合は原則課税(実額控除)のほうが有利になることもあります。売上に占める仕入・経費の比率が高い業種や、大きな設備投資がある年などは必ず検討してください。

    申告・税額計算を楽にする会計ソフト

    インボイス制度への対応や消費税申告は、手計算では煩雑になりがちです。会計ソフトを利用すると、売上・経費の入力から消費税の計算・申告書作成までをまとめて管理できます。

    個人事業主向けに広く使われているサービスとして、freee会計マネーフォワード クラウド確定申告などがあります。いずれも消費税の申告(簡易課税・原則課税の切り替えを含む)に対応した機能を備えています。

    各サービスの料金プランや対応機能は変わることがあるため、最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。自分の業種・規模・使い勝手に合ったものを選ぶことが重要です。

    ※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。サービスの選定はご自身の判断で行ってください。

    👉 2割特例が終わった後の選択肢(免税に戻る・3割特例・簡易課税・本則課税)を一覧で見たい方は、2割特例が終わった後の選択肢ガイドもあわせてご覧ください。

    まとめ

    チェックポイント 3割特例 簡易課税
    対象者 個人事業主のみ 個人・法人どちらも
    対象期間 令和9・10年分(時限) 継続的に使用可(2年縛りあり)
    届出 不要(申告書に付記) 課税期間開始前に届出必要
    向いている業種 第4〜6種(飲食・サービス・不動産) 第1〜2種(卸売・小売)
    柔軟性 高い(毎年判断できる) 低い(2年間継続)

    3割特例と簡易課税のどちらが有利かは、業種(みなし仕入率)によって明確に異なります。 税額だけでなく、手続きの手軽さや事業の継続性も含めて総合的に判断することが大切です。

    また、本記事の数値はあくまで概算であり、実際の税額は個々の取引内容・事業区分の判定・その他の条件によって異なります。正確な判断は必ず国税庁の最新情報を確認し、税理士にご相談ください。

    参考リンク(国税庁)

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  • 2割特例は個人事業主だといつまで?最後は令和8年(2026年)分・申告は2027年【完全解説】

    この記事でわかること

    • 個人事業主の2割特例はいつまで使えるか(結論:令和8年分まで)
    • 「2026年10月で終わり」という誤解をなぜ誤解と言えるのか
    • 2026年10月に実際に変わる制度(仕入税額控除の経過措置)との違い
    • 2割特例終了後の3割特例(令和9・10年分)の概要
    • 納税額シミュレーション(売上500万円の場合)

    結論先出し:個人事業主の2割特例はいつまで?

    令和8年(2026年)分の消費税申告が最後です。

    確定申告期間は 2027年2月1日〜2027年3月31日 となります。

    2割特例の対象期間は、国税庁の定めにより「令和5年10月1日〜令和8年9月30日までの日の属する各課税期間」とされています(国税庁:消費税の2割特例)。

    個人事業主の消費税の課税期間は暦年(1月1日〜12月31日)です。「令和8年9月30日」はどの課税期間に属するかといえば、令和8年(2026年)の1月1日〜12月31日全体がひとつの課税期間です。つまり、令和8年(2026年)分すべてが2割特例の対象となり、12月31日まで適用を受けられます。

    ポイント: 2割特例の期間上限は「令和8年9月30日」ですが、個人事業主はその日が属する課税期間=令和8年(暦年)全体が対象です。申告は2027年に行います。

    そもそも2割特例とは?対象者・計算式

    対象者

    インボイス制度(適格請求書等保存方式)の登録を行い、登録を機に課税事業者となった個人事業主・フリーランスが主な対象です。もともと消費税の課税事業者だった方は原則として対象外となりますが、詳細な要件は国税庁の案内をご確認ください(国税庁:インボイス制度の概要)。

    2割特例の計算式

    納付税額 = 売上に係る消費税額(売上税額) × 20%

    通常、消費税の納付額は「売上税額 − 仕入税額控除」で計算します。2割特例はこの計算を省略し、売上税額の20%だけを納付すれば済む制度です。帳簿・請求書の集計を大幅に省力化できます。

    誰でも使える?

    2割特例は事前の届出が不要です。確定申告の際に選択するだけで適用できます(ただし要件を満たす場合に限ります)。税理士や国税庁窓口で自身が要件を満たすか確認することをおすすめします。

    「2026年10月で終わり」は誤解:暦年課税の考え方

    ネット上では「2割特例は2026年10月に終わる」という情報を見かけることがあります。これは個人事業主には当てはまらない誤解です。

    制度上の期間上限 令和8年9月30日
    個人事業主の課税期間 暦年(1/1〜12/31)
    令和8年9月30日が属する課税期間 令和8年(2026年)1月1日〜12月31日
    実際に2割特例が使える最後の期間 令和8年(2026年)分全体
    確定申告の時期 2027年2月1日〜3月31日

    つまり、個人事業主にとっては2026年10月1日を過ぎても同じ課税期間の中にいます。令和8年12月31日まで2割特例を使い続けられ、翌年2027年に申告します。

    2026年10月に個人事業主の2割特例は終わりません。 令和8年分は12月末まで有効です。

    法人は終了時期がずれる(参考)

    法人の課税期間は事業年度(決算期)に依存するため、終了時期が個人事業主と異なります。

    たとえば3月決算の法人の場合、「令和8年4月1日〜令和9年3月31日」の事業年度が「令和8年9月30日を含む課税期間」に相当するため、この事業年度が2割特例の対象となりうります。

    法人の方は自社の事業年度と照らし合わせ、税理士へ確認することをおすすめします。

    混同注意:2026年10月に変わるのは「仕入税額控除の経過措置」

    2割特例(売り手側の制度)とは別に、買い手側の制度として「仕入税額控除の経過措置」があります。これは、インボイス未登録の取引先への支払いについて、一定割合の仕入税額控除を認める制度です。

    この2つはまったく別の制度です。 混同しないよう注意してください。

    仕入税額控除の経過措置のスケジュール(買い手側)

    期間 控除できる割合
    令和5年10月1日〜令和8年9月30日 仕入税額相当額の 80%
    令和8年10月1日〜令和10年9月30日 70%
    令和10年10月1日〜令和12年9月30日 50%
    令和12年10月1日〜令和13年9月30日 30%
    令和13年10月1日以降 0%(控除不可)

    2026年(令和8年)10月1日に変わるのはこちらです。インボイス未登録の事業者への支払いに係る仕入税額控除が80%から70%に引き下げられます。

    2割特例(売り手側)と仕入税額控除の経過措置(買い手側)は目的も仕組みも異なります。「2026年10月に何かが変わる」という情報を目にしたとき、どちらの制度の話なのかをきちんと確認しましょう。

    詳細は国税庁の案内をご参照ください:国税庁:インボイス制度に関する経過措置

    2割特例の後はどうなる?3割特例(令和9・10年分)

    「2割特例が終わったら即・負担急増」ではありません。令和8年度(2026年度)税制改正により、個人事業主向けに3割特例が新設されました

    3割特例の概要

    • 対象: 個人事業主のみ(法人は対象外)
    • 対象期間: 令和9年(2027年)分・令和10年(2028年)分
    • 計算式: 売上税額 × 30% を納付
    • 手続き: 2割特例と同様、事前の届出は不要で、申告書にその旨を付記して適用(要件を満たす場合)

    なお、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える課税期間など、一定の場合は適用できません。法人については令和8年度改正で負担軽減措置の延長は行われず、2026年10月以降は原則課税または簡易課税となります。

    2割特例(20%)から一気に原則課税や簡易課税へ移行するのではなく、令和9・10年分は30%という段階的な移行が設けられています。

    詳細な要件・届出の必要性などは税理士または国税庁にご確認ください。最新情報は国税庁:令和8年度税制改正特集をご参照ください。

    納税額シミュレーション(売上500万円の場合)

    課税売上500万円(税抜)・消費税率10%のフリーランスを例に試算します。

    制度 対象期間 売上税額 納付税額
    2割特例 令和5年10月〜令和8年12月末(個人) 50万円 10万円(×20%)
    3割特例 令和9年・10年分(個人のみ) 50万円 15万円(×30%)
    参考:簡易課税(第5種・サービス業) 50万円 25万円(みなし仕入率50%)
    参考:原則課税(仕入控除なしの場合) 50万円 50万円

    ※売上税額 = 課税売上500万円 × 消費税率10% = 50万円
    ※簡易課税の金額は業種(みなし仕入率)によって異なります。上記は第5種(サービス業等、みなし仕入率50%)の場合の参考値です。
    ※原則課税は仕入れ・経費の状況により大きく異なります。

    業種ごとに簡易課税との損益比較は異なります。3割特例と簡易課税どちらが有利かは、3割特例と簡易課税どちらが得か(業種別比較)で詳しく解説しています。

    申告を楽にする会計ソフト

    2割特例・3割特例のいずれも、消費税の申告書を作成する必要があります。手計算でも対応できますが、会計ソフトを使うと帳簿付けから申告書作成までを一括で管理しやすくなります。

    以下は、個人事業主・フリーランスに利用されているクラウド会計ソフトの例です。いずれも消費税申告に対応しています。

    どちらが自分に合うかは、料金プランや使い勝手を実際に試してみて判断することをおすすめします。無料トライアルを利用して比較するとよいでしょう。

    ※本記事は各ソフトの優劣を断定するものではありません。機能・料金は変更になる場合があります。最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。

    👉 2割特例が終わった後の選択肢(免税に戻る・3割特例・簡易課税・本則課税)を一覧で見たい方は、2割特例が終わった後の選択肢ガイドもあわせてご覧ください。

    まとめ

    確認ポイント 内容
    個人事業主の2割特例の最終適用期間 令和8年(2026年)分
    確定申告の時期 2027年2月1日〜3月31日
    「2026年10月で終わり」の誤解 個人事業主の課税期間は暦年。令和8年分は12月末まで有効
    2026年10月に変わるもの(別制度) 仕入税額控除の経過措置が80%→70%(買い手側)
    2割特例終了後(令和9・10年分) 個人事業主向けに3割特例(売上税額×30%)が利用可能

    2割特例は、インボイス登録を機に課税事業者となったフリーランス・個人事業主にとって大きな恩恵となる制度です。令和8年(2026年)分の申告(2027年)まで対象となりますので、慌てず正確に把握しておきましょう。

    税制は改正が続く分野です。最新・正確な情報は必ず国税庁の公式サイトまたは担当税理士にご確認ください。

    2割特例終了後に控えている「3割特例」とは(2026年度税制改正で成立済み)

    2割特例は令和8年9月30日(2026年9月30日)までの日の属する課税期間で終了しますが、国税庁が2026年4月付で公表した資料によると、個人事業者に限り、その後を継ぐ緩和措置として「3割特例」が設けられています。これは2026年度(令和8年度)税制改正の内容がそのまま法律として成立し、国税庁自身が「こととされました」という確定表現で案内している制度であり、税制改正大綱段階の未確定情報ではありません(2026年7月確認)。

    3割特例の内容は、国税庁の資料(インボイス制度に関する令和8年度改正の案内(国税庁PDF))によると次のとおりです。

    • 対象者は個人事業者のみ。法人は対象外(2割特例のときと同様の切り分け)。
    • 対象期間は令和9年分・令和10年分(2027年分・2028年分)の消費税申告。
    • 計算方法は、結果として納付税額を課税標準額に対する消費税額の3割にできるものとされています(控除額を7割相当とみなすかたち)。詳細な計算は上記の国税庁資料でご確認ください。
    • 2割特例と同じく、免税事業者が適格請求書発行事業者になったこと(または課税事業者選択届出書の提出)によって事業者免税点制度の適用を受けられなくなった課税期間に限り使える、とされています。
    • 適用を受けるには確定申告書にその旨を付記する必要がある(2割特例と同様、事前の届出は不要)。

    つまり「2026年9月で2割特例が終わる=すぐに本則課税か簡易課税しか選べなくなる」わけではなく、個人事業者であれば2027年分・2028年分は3割特例でもう2年、負担増を緩やかにする選択肢が残されています。ただし2029年分(令和11年分)以降は3割特例も使えなくなるため、遅くともそこまでには本則課税か簡易課税かを検討しておくとよいでしょう。2割特例そのものの対象や計算方法は、国税庁の2割特例の特設ページもあわせてご確認ください。

    2027年分以降、個人事業主が選べる3つの道

    3割特例が終わる令和11年分(2029年分)以降、あるいは3割特例をあえて使わない場合、個人事業主の消費税の申告方法は主に次の3択になります。どれが得かは業種・仕入や経費の割合・課税売上高によって変わるため、一律に「これが正解」とは言えません。自分の数字で試算して選ぶ性質のものです。

    • 本則課税(一般課税): 実際の仕入・経費にかかった消費税を積み上げて控除する方法。仕入や経費の消費税負担が売上に対して重い業種(仕入原価率が高い卸売・小売、設備投資が多い年など)では有利になりやすい一方、インボイス(適格請求書)の保存など事務負担は相対的に重くなります。
    • 簡易課税制度: 実際の仕入額を集計せず、業種ごとに定められた「みなし仕入率」(第1種90%〜第6種40%。国税庁タックスアンサーNo.6509に規定)を売上の消費税額に掛けて控除額とみなす方法。事務は簡略化できますが、実際の仕入率がみなし仕入率より低い業種・年では本則課税より不利になることもあります。適用には、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることが条件です(簡易課税の従来からの要件。適用可否や金額基準は最新の国税庁情報でご確認ください)。
    • 免税事業者に戻る: 課税売上高などの要件(免税点制度)を満たせば免税事業者に戻ることも制度上は可能です。ただしインボイスを発行できなくなるため、取引先が仕入税額控除を必要とする事業者(課税事業者)の場合は取引条件の見直しを求められる可能性があります。BtoC中心や免税事業者との取引が多い業態でないと選びにくい面があります(具体的な免税点の要件や届出・手続きの期限は国税庁で要確認)。

    判定の軸は主に「課税売上高の規模」「業種(仕入率がみなし仕入率より高いか低いか)」「取引先が課税事業者かどうか」の3つです。どれが有利かは年によっても変わりうるため、迷う場合は税理士に自分の実際の数字で試算してもらうと安心です。

    簡易課税制度を選ぶなら「提出期限」に注意

    簡易課税制度を使うには、事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出しておく必要があります。原則の提出期限は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(個人事業者なら、その年の12月31日まで)です(国税庁消費税簡易課税制度選択届出手続の案内(D1-22))。年をまたいでからの提出では、その年は間に合わず本則課税になる点に注意が必要です。

    なお国税庁の2026年4月の案内によれば、2割特例または3割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間から簡易課税制度に切り替える場合に限り、その翌課税期間に係る確定申告期限までに届出書を提出すれば間に合う、という期限の弾力化措置が設けられています(この弾力化は、翌課税期間が2026年10月1日以後に終了する課税期間である場合に適用。前掲の国税庁PDF参照)。ただしこれはあくまで2割特例・3割特例からの切り替え時に限った例外であり、通常の簡易課税選択(初めて選ぶ場合や、特例を使っていない年からの切り替え)は原則どおり「前年末まで」に届け出る必要がある点は変わりません。

    また、簡易課税を選ぶと原則2年間は本則課税に戻れない継続適用の縛りがある点も踏まえ、目先の1年だけでなく数年単位の見通しで判断することをおすすめします。(2026年7月確認)

    3割特例・簡易課税についてよくある質問

    Q. 3割特例は自動的に適用されますか?

    いいえ。2割特例と同様、事前の届出は不要ですが、確定申告書にその旨を付記する必要があります。何もしなければ本則課税や簡易課税(届け出ていれば)で計算されるため、対象になる方は申告時に付記をお忘れなくご確認ください。

    Q. 3割特例は法人でも使えますか?

    使えません。国税庁の案内でも「個人事業者」限定であることが示されており、法人は2割特例の終了後、本則課税か簡易課税(届出済みの場合)のいずれかになります。

    Q. 簡易課税とどちらが得かは自分で計算できますか?

    業種のみなし仕入率(第1種90%〜第6種40%。国税庁No.6509)と、自分の実際の仕入・経費の対売上比率を比べればおおまかな傾向はつかめますが、年によって仕入額が変動する場合や複数事業を営む場合は判定が複雑になります。正確な有利不利の判断は税理士への相談をおすすめします。

    Q. 3割特例の後、2029年分はどうなりますか?

    3割特例の対象は令和9年分・令和10年分(2027年分・2028年分)に限られているため、2029年分(令和11年分)以降は本則課税か、事前に届け出た簡易課税のいずれかで申告することになります。詳細は前掲の国税庁資料でご確認ください。

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