「個人事業主になったけど、確定申告って何から始めればいい?」「副業収入があるけど、申告が必要かどうかわからない」――そんな不安をお持ちの方に向けて、確定申告の全体像と手順をステップごとにわかりやすく解説します。
税制は改正されることがあります。本記事の情報は執筆時点のものであり、最新の内容は必ず国税庁公式サイトでご確認ください。
確定申告の全体像:4つのステップで理解する
確定申告は、大きく分けて以下の4ステップで進みます。まずはこの流れを頭に入れておくと、各作業の位置づけが明確になります。
- ステップ1:自分に申告義務があるか判断する
- ステップ2:青色申告か白色申告かを決める
- ステップ3:必要書類を集める
- ステップ4:申告書を作成して提出する
以降のセクションで、それぞれを順番に解説していきます。
ステップ1:そもそも確定申告が必要な人は?
確定申告が必要かどうかは、所得の種類や金額によって変わります。
個人事業主(事業所得がある方)
フリーランスや自営業など、事業所得がある方は原則として確定申告が必要です。年間の所得が基礎控除などを下回る場合は不要になることもありますが、詳細は個人の状況によって異なるため、国税庁の情報または税理士にご確認ください。
副業をしている会社員・給与所得者
会社員など給与所得者が副業を行っている場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になるのが一般的な目安とされています。ただしこれはあくまで目安であり、住民税の申告については別のルールが適用される場合があります。また、医療費控除や住宅ローン控除などを受けたい場合は、20万円以下でも申告が必要なケースがあります。例外も存在するため、ご自身の状況に合わせて国税庁または税務署に確認することをおすすめします。
ステップ2:青色申告か白色申告かを選ぶ
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。どちらを選ぶかで、受けられる控除額や帳簿の手間が変わります。詳しくは 青色と白色の違い の記事もあわせてご覧ください。
青色申告の特別控除(3段階)
| 控除額 | 主な要件 |
|---|---|
| 65万円 | 複式簿記による記帳 + e-Taxによる電子申告、または優良な電子帳簿保存 |
| 55万円 | 複式簿記による記帳(紙による申告) |
| 10万円 | 簡易簿記による記帳 |
青色申告特別控除は、所得から一定額を差し引ける制度です。特に65万円控除は節税効果が大きいとされていますが、控除の効果は個人の所得・税率によって異なります。「得する金額がいくら」とは断言できないため、具体的なシミュレーションは税理士や国税庁の計算ツールをご活用ください。
青色申告をするには事前申請が必要
青色申告を行うには、事前に税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。提出期限は原則としてその年の3月15日まで(新規開業の場合は事業開始日から2か月以内)です。この申請を忘れると、その年は白色申告になります。
白色申告
白色申告は事前申請が不要で、帳簿の形式も比較的シンプルです。ただし、白色申告にも記帳と帳簿書類の保存義務があります。また、青色申告特別控除は適用されません。
ステップ3:申告期限に注意しよう
確定申告の期限を把握しておくことは非常に重要です。特に所得税と消費税では期限が異なる点に注意してください。
- 所得税の確定申告期限:翌年3月15日(土日祝日の場合は翌平日に順延)
- 消費税の確定申告期限:翌年3月31日(所得税とは別の申告・別の期限)
「3月15日に間に合えばすべてOK」と思いがちですが、インボイス登録をして消費税の申告義務がある方は、別途3月31日の期限も管理する必要があります。2つを混同しないよう注意しましょう。
ステップ3(続き):必要な書類を集める
申告書を作成する前に、必要な書類を揃えておきましょう。主なものは以下のとおりです。
- 確定申告書(第一表・第二表)
- 青色申告決算書(青色申告の場合)または収支内訳書(白色申告の場合)
- 各種控除証明書:社会保険料控除証明書、生命保険料控除証明書、医療費の領収書・明細書など(該当するもの)
- マイナンバー確認書類:マイナンバーカード、または通知カード+本人確認書類
- 源泉徴収票(給与所得がある場合)
- 売上・経費の帳簿・領収書類
必要な書類は個人の状況によって異なります。最新の必要書類リストは国税庁公式サイトでご確認ください。
ステップ4:申告書の作成・提出方法
申告書の提出方法は主に2通りあります。
方法①:e-Tax(電子申告)
e-Taxはインターネットを通じて申告書を送信する方法です。マイナンバーカードとカードリーダー(またはスマートフォン)があれば利用できます。電子申告を行うことで、青色申告特別控除65万円の適用要件を満たせるほか、添付書類の省略や還付が早まるといったメリットがあります。
方法②:書面(紙)申告
申告書を印刷または手書きで記入し、税務署の窓口に持参するか、郵送で提出します。複式簿記で記帳し紙申告した場合は、青色申告特別控除55万円が適用されます。
国税庁「確定申告書等作成コーナー」の活用
国税庁が提供する「確定申告書等作成コーナー」(国税庁公式サイト内)では、画面の案内に従って入力するだけで申告書を作成できます。作成した申告書はそのままe-Taxで送信することも可能です。無料で利用できるため、まず試してみるとよいでしょう。
会計ソフトを使った申告
会計ソフトを使うと、申告書の作成や税額計算が自動化されて負担が大きく減ります。定番はfreee・マネーフォワード・弥生で、個人事業主で青色申告をするならやよいの青色申告 オンラインも候補になります(最新の料金・無料枠は公式でご確認ください)。(上記は広告/PRリンクを含みます)
日々の記帳から確定申告書の作成、さらにe-Tax送信まで一括して対応できる会計ソフトを活用する方法もあります。銀行口座やクレジットカードと連携して自動取得できる製品も多く、記帳の手間を大幅に省けることがあります。
代表的なクラウド会計ソフトとして、freee会計 や マネーフォワード クラウド確定申告 があります。どちらが自分に合うかは機能・価格・サポート体制などで異なるため、各公式サイトで最新の料金・機能をご確認の上、比較検討してください。詳しくは freee vs マネーフォワード比較 の記事もご参考に。
インボイス登録をしている方への注意点
インボイス制度(適格請求書等保存方式)に登録している方(適格請求書発行事業者)は、所得税の確定申告とは別に、消費税の確定申告も必要になる場合があります。
消費税の申告には、一定の条件を満たす場合に納税額を売上税額の2割とみなせる「2割特例」などの特例措置が設けられていることがあります。ただし特例の適用要件・期限は改正されることがあるため、最新情報は必ず国税庁または 2割特例はいつまで の記事・公式サイトでご確認ください。消費税申告が初めての方は 初めての消費税申告 の記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 申告期限を過ぎてしまったらどうなる?
期限後に申告を行った場合、一般的には無申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。ただし、自主的に申告した場合と税務署から指摘された場合では扱いが異なることがあります。期限を過ぎてしまった場合でも、できるだけ早く申告することが重要です。詳細は国税庁または税務署にご確認ください。
Q. 赤字(損失)でも申告したほうがいい?
青色申告をしている場合、事業所得の赤字を翌年以降に繰り越す「純損失の繰越控除」が利用できることがあります(一般的には最長3年)。申告しないと繰越せないため、赤字の年も申告する意義がある場合があります。ただし要件や効果は状況によって異なるため、国税庁の情報をご確認ください。
Q. 開業初年度から青色申告できる?
はい、開業初年度から青色申告を選択することは可能です。ただし前述のとおり、事業開始日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。この期限を過ぎると、その年は白色申告になります。
Q. 会計ソフトは必ず使わなければいけない?
会計ソフトの使用は義務ではありません。国税庁の確定申告書等作成コーナーや手書きでも申告は可能です。ただし、複式簿記による記帳が求められる青色申告65万円控除を目指す場合、会計ソフトを使うことで作業負担が軽減できることがあります。
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freee会計
料金
プランごとに設定あり(最新の金額は公式で確認)
使いやすさ
質問に答える形式で記帳。簿記の知識が浅くても進めやすい設計
向く人
これから開業する人/会計用語に不慣れな個人事業主
マネーフォワード クラウド
料金
プランごとに設定あり(最新の金額は公式で確認)
使いやすさ
会計の表記に沿った画面。明細の自動連携が幅広い
向く人
簿記にある程度なじみがある人/口座連携を重視する人
※料金・機能は変更される場合があります。お申し込み前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。
まとめ:まず「申告が必要か」の確認から始めよう
確定申告のポイントをまとめます。
- 個人事業主は原則として確定申告が必要。副業の場合は給与以外の所得が年20万円超が申告要否の一般的な目安(断定せず、個別確認を)
- 青色申告は事前の承認申請が必要。特別控除は65万円・55万円・10万円の3段階
- 所得税の申告期限は翌年3月15日、消費税は翌年3月31日と別々
- 主な書類は確定申告書、青色申告決算書(または収支内訳書)、控除証明書、マイナンバー書類
- e-Taxや会計ソフトを活用すると、作業を効率化できることがあります
- インボイス登録者は消費税申告も別途必要になる場合があります
税制は毎年改正が行われることがあります。本記事の内容はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個別の税務判断については国税庁の公式情報または税理士にご相談ください。
会計ソフトを使ってみたい方は、freee会計 や マネーフォワード クラウド確定申告 の公式サイトで最新の機能・料金をご確認ください。どちらが合うか迷う方は freee vs マネーフォワード比較 もご参照ください。
所得税の申告が不要でも確認したい「住民税申告」と「還付申告」
「所得が少ないから確定申告はしなくていい」と思っていても、それで終わりとは限りません。見落としがちな2つのケースを整理します(2026年7月確認)。
住民税の申告は別ルールで必要になることがある
会社員の副業所得が20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要になる特例がありますが、この「20万円以下は申告不要」という扱いは住民税にはありません。所得税の確定申告をしない年でも、給与以外に所得がある場合はお住まいの市区町村へ住民税の申告が必要になるのが原則です。住民税は市区町村が扱う地方税のため、申告の要否や手続きはお住まいの市区町村の窓口・案内で確認してください。所得税の20万円特例については国税庁の確定申告に関するQ&Aも参考になります。
「申告不要」でも、源泉徴収されていたら還付申告で戻ることがある
報酬から源泉徴収(あらかじめ税金が差し引かれた状態)で支払いを受けている個人事業主は、確定申告の義務がない年でも、実際の所得税額より源泉徴収された税額が多ければ「還付申告」によって差額が戻ってくる可能性があります。国税庁によれば、還付申告はその年の翌年1月1日から5年間提出できます(青色申告特別控除など一部の控除を受ける場合は法定申告期限までの提出が必要です)。詳しくは国税庁の還付申告の案内をご確認ください。「申告義務がないから」と提出しないままだと、本来戻ってくるはずのお金を受け取れずに終わってしまうことがあります。
経費の「家事按分」の基本的な考え方
自宅を事務所と兼用している場合など、事業と生活の両方にまたがる支出(家賃・光熱費・通信費など)は、そのままでは全額を経費にできません。国税庁の通達では、家事関連費のうち必要経費にできるのは「業務の遂行上必要であることが明らかな部分」に限られるとされています(所得税基本通達45-2ほか)。この、事業に使った部分だけを切り分けて計上する作業が「家事按分」です。
実務でよく使われる按分の考え方には次のようなものがあります。
- 床面積比で按分する例:自宅の総床面積のうち、仕事専用スペースの面積の割合で家賃・家賃相当分を按分する方法。
- 使用時間比で按分する例:1日のうち事業のために使用している時間の割合で按分する方法。
ただし、何%を経費にできるかは業種・使用実態によって個別に変わるため、本記事では「必ずこの割合にすべき」という断定はできません。税務調査などで説明を求められた際に、按分の根拠(面積図や使用時間の記録など)を示せる状態にしておくことが重要です。判断に迷う場合は税務署や税理士に確認することをおすすめします。
申告が遅れたときのペナルティ(無申告加算税・延滞税)
期限内に確定申告できなかった場合、脅すつもりはありませんが、事実として次の2種類の税金が追加でかかる可能性があります。
- 無申告加算税:税務署の調査通知が来る前に自主的に期限後申告をした場合は、原則として納付すべき税額の5%が加算されます(令和5年分以降は、税務署の調査通知後・調査後に申告した場合は納付税額に応じて10%~30%の段階的な税率が適用されます)。詳しくは国税庁の無申告加算税の案内をご確認ください。
- 延滞税:法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じてかかります。割合は年によって見直され、国税庁の公表では令和8年分は納期限から2か月以内は年2.8%、2か月を超えると年9.1%です(延滞税の割合)。
なお、期限後1か月以内に自主的に申告し、かつ期限内申告の意思があったと認められる一定の要件(全額納付済み・過去5年間に無申告加算税等を課されていないなど)を満たす場合は、無申告加算税がかからない措置もあります。詳細な要件は国税庁の案内で確認してください。「期限を過ぎてしまった」と気づいた時点で、できるだけ早く申告・納付するのが負担を抑える基本です。
会計ソフトは万能ではない
近年はクラウド会計ソフトを使えば申告書の作成自体はかなり省力化できます。ただし、ソフトはあくまで計算・帳票作成の補助であり、経費の家事按分の割合や、どの控除を使えるかといった判断は、入力する側が正しい情報を選んで入れて初めて反映されます。ソフトを使っていれば自動的に節税額が最大化されるわけではない、という点は正直に押さえておきたいところです。
よくある質問
会社員の副業(事業所得)が20万円以下なら確定申告は不要ですか。
給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる会社員は、給与以外の所得(副業の事業所得など)の合計が年間20万円以下であれば、原則として所得税の確定申告は不要です。ただし前述の通り、この20万円ルールは住民税には適用されないため、住民税の申告は別途必要になる点に注意してください。
確定申告が不要になるのはどんな人ですか。
代表的なのは、所得金額の合計が基礎控除以下などで納める税金が発生しない場合です。基礎控除の金額は令和7年度税制改正で見直されており、令和7年分・令和8年分は所得金額に応じて58万円~95万円の範囲(時限的な引き上げ)、令和9年分以降は58万円に統一される予定です。ご自身の所得区分・年分でいくらが基礎控除になるかは、国税庁の基礎控除の見直しに関する案内で確認することをおすすめします。
青色申告承認申請書はいつまでに出せばいいですか。年の途中で開業した場合は?
青色申告の承認を受けたい年の3月15日までに提出するのが原則です。ただし、その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合は、開業日から2か月以内に提出すればその年から青色申告の対象にできる例外があります(開業が1月1日~1月15日の場合は原則どおり3月15日が期限です)。詳しくは国税庁の青色申告制度の案内をご確認ください。
もし確定申告の期限に間に合わなかった・気づいたら過ぎていたという場合は、確定申告に間に合わなかった人へ(今からできる期限後申告の道)で対処法を解説しています。
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